10月1日上記研修事業が伊那市役所においてが開催されました(主催:文部科学省、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU))。会場となっている伊那市は,ジオパークとユネスコエコパークに重複登録されている自治体です。この二つはいずれも持続可能な地域づくりを目指した制度で,その実現のためにESDに注目したそうです。研修会の参加者は,午前中の講演会が26人,午後のワークショップが18人。長野県内ばかりではなく,静岡県や横浜市からも参加者がありました。
午前中の講演は2題。静岡大学の山本隆太先生からは,ジオパークとESDとの関わりを中心に話題提供がありました。ジオパークネットワークでは昨年の全国大会でESDの推進を宣言したそうです。横浜市立永田台小学校校長の住田昌治先生からは,学校経営の中でのESDの推進について,経験に基づくご講演がありました。ESDに学校全体で取り組むためには,まず学校の先生が「幸せ」に取り組むことができないといけない,との問題意識から,教職員の働き方改革を推進されたお話は,多くの教育関係者が共感していたようです。また午後には「持続可能性」について考えるため,グループに分かれて「持続可能な村とはどんな村か?」「それには何が必要か?」というお題でワークショップを行いました。「自然豊かな場所で,きれいな農地や牧場があるといいよね」「村には学校も図書館も警察署も必要」「電気はグリーンエネルギーでまかなおう」「お年寄りばかりでなく,子どもがいる村がいい」「地域だけですべての運営費をまかなえるのかな?」...財源の制約を無視してもなお,持続可能な地域社会への道は険しそうです。
さて,1日のプログラムを通して,実は一度も「ESD推進の手引」の冊子を使っていませんでした。不思議に思って企画側の方にたずねてみると,ESDは知識を詰め込んで理解するものではなく,考えさせてはじめて身につくものなので,あえてテキストは一切使わない研修会の設計にしたとのこと。こういう考えかたもあるということが,私にとっては一番の発見でした。(水谷瑞希)